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ITR Review

コンテンツ番号:
R-224054
発刊日:
2024年5月14日

注目が高まるエンタープライズブラウザ

アプリケーション層でのセキュリティ強化と生産性向上

著者名:
三浦 竜樹
注目が高まるエンタープライズブラウザのロゴ画像

業務アプリケーションのWebアプリケーション化やSaaS利用の拡大により、企業におけるWebブラウザの利用時間が大幅に増加している。本稿では、IE11のサポート終了前後の社内標準Webブラウザに関する調査結果から企業の現状を示しながら、米国などで注目が高まっているエンタープライズブラウザについて解説する。

Webブラウザの業務利用状況の変化

企業におけるWebブラウザの利用環境が変化を迎えている。これまで社内標準Webブラウザとして最も利用されてきたMicrosoft社のInternet Explorer(以下、IE)11のサポートが、2022年6月15日(米国時間)に終了した。一部、Windows 10 Enterprise LTSCを利用している企業は、2029年までサポートが続くことから、IE11の利用を継続している企業も存在するが(ITR Review『社内標準Webブラウザへの移行動向』R-222033)、多くの企業が社内標準Webブラウザを見直す契機となった。そこで本稿では、まず、ITRが行った調査結果からIT部門に所属する回答者に絞り、「社内標準に定められているWebブラウザ」および「業務で利用しているWebブラウザ」がこの3年間どのように推移しているかを見てみる(図1)。

図1.社内標準Webブラウザおよび業務利用のWebブラウザ(複数回答)

図1.社内標準Webブラウザおよび業務利用のWebブラウザ(複数回答)
出典:ITR(2021年8月・2022年8月・2023年8月調査)

IE11のサポート終了以前の2021年は、社内標準WebブラウザはIEが40%で最多であったが、この時点でコンシューマー市場では圧倒的なシェアを誇るGoogle社のChromeが39%と肉迫しており、またChromeと同じレンダリングエンジン(Chromium)を搭載し、アドオンを含むChromeとの互換性が高まったMicrosoft社のEdge(以下、Edge)も31%に上った。2022年には、IE11を社内標準とする企業は17%に急降下し、代わってEdgeが48%で最多に、Chromeも44%と、社内標準ではChromiumエンジンのWebブラウザがほぼ独占した。2023年は各Webブラウザの選択率がいずれも低下したが、Webブラウザの移行過渡期に複数の社内標準ブラウザを設定していた企業が収束を進めたためと推察される。また、Apple社のSafariは、Windows向けにはすでに提供されていないものの、2023年に社内標準ブラウザとしている企業が7%存在した。これは、高い利用率を誇るiPhone/iPadの社内標準ブラウザとしている企業が一定数いることを示唆している。

業務で実際に利用しているWebブラウザの選択率と比べると、いずれも社内標準での選択率を大きく上回った。この理由は、Webサイト閲覧などではIT部門のサポート対象外として、社内標準で定めているブラウザ以外の、使い慣れたWebブラウザの利用が容認されているためと推察される。

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